アクテイブシニア(No.23) 海外から見た今の日本

海外から見た日本は

私も日本の会社を完全にリタイアして早3年になり、単身インドネシアのジャカルタに住んでいるのですが、最近特にこれからの日本のことが気がかりでしかたがありません。

まずは昔の思い出

インドネシアに最初に赴任した当時の1990年代は、会社に居た現地スタッフで月の給料で10,000円を超えた人はいませんでした。

今は大学卒で20万円を超える人が結構おり、当時と比較すると20倍以上です。

当時は家族でジャカルタに居住しており、子供も赤ん坊だったので家には女中が3人いました。

コキと言う料理人、チュチと言う洗濯と掃除を担当する女中、それに加えベビーシッターがおり、三人の月給は全員で10,000円程度でした。但し彼らは住み込みで、食事は支給していました。

今の相場をローカルパートナーに聞いてみると、最低でも3万円程度で古くから働いている人は5万円を貰っている人も居るそうで、嘗ての30倍に相当します。

以前は仕事に於いても、日本人は尊敬の対象であり、併せて日本製品は品質一番で、持っていると自慢の種になっていました。

今はTVも家電んも韓国企業のLGやサムスンが主流になっており、日本企業は縮小の一途のように思えます。

 

私自身勝手に思うに、私が駐在していた当時(1991年から1997年)は時代が良かったと言えばそれまでですが、自分は海外で華々しい日本の企業戦士の一員として謳歌できたと思っております。

よく言われる、逃げ切り世代だったのかと思います。

 

1.インドネシアでの日本企業の立ち位置

どうして日本はこんな国になってしまったんだろう。

私はインドネシアでも建設関連の仕事をしてきたが、20年前までは日系の建設会社の独壇場でした。

現地の建設会社は単独では何も出来ず、日系の会社に負んぶに抱っこの状況でした。

インドネシアの政府は業種によりますが、,建設業は外資企業の単独活動を規制し、必ず現地会社との合弁を義務化されております。

何十年も一緒に仕事をしていれば、当然技術やノウハウは現地会社に継承されるわけで、今では現地建設会社単独で事業展開するに至ってしまいました。

以前のように新しい技術がどんどん生れる状況ですと、追い付くのも難しかった訳ですが、今は技術も行き着くところまで来てしまった気がします。

 

以前は日系企業のインドネシア進出ラッシュがあり、日系建設会社も受注が日本で決まり仕事が取れていたわけです。

今は新規の進出はほとんど無く、あっても既存の工場の増設程度が多くなってきている。

土木工事に於いても、日系企業が優先受注できる日本のODA(政府開発援助)での仕事に日系建設会社は頼っている気がします。

このODAですが言葉を換えれば、発展途上国を援助しているように言われていますが、実際は日本の国が日本の企業を支援しているのが実態だと思います。

今進行中の日本のODAの主なものは、ジャカルタの地下鉄建設、ジャカルタ港建設工事ですが、技術的にも追い付かれ、数年後にはローカル建設会社に置き換わってしまうと思われます。

またインドネシアも、もう発展途上国から外れようとしており、あと数年後には日本のODAも無くなると言われております。

そのため日系の建設会社は、生き残りを掛けて次の途上国を求めバングラデシュ、スリランカ、ミヤンマーに移動してきております。

 

唯一日本の車会社は、今でもインドネシアでの日本車の比率は90%以上で頑張っていますが、他国(中国(WULIN)、韓国(Hyundai))の進出により、日本の独り舞台も時間の問題の様な気がしてきました。

 

中国製の車も、以前は品質が悪かろう安かろうでしたが、最近のモデルは性能もかなり追い付いて来ており、値段も安いためジャカルタ市内でも良く見かけるようになってきました。

2015年にGMがインドネシア国内での生産から撤退。このあとを受けたのが中国企業のウーリン(WULIN)で、16年より国内生産を開始し、同時に販売店も充実させました。その結果、わずか1年で欧米勢を上回る実績を獲得できたというわけです。

 

私としては日本の最後の牙城である、日本車部門だけは死守してもらいたいと思っております。

 

2.日本の実態

①日本の国力(GDP)

国の経済規模や豊かさを表す指標といえる名目GDPも日本だけは約25年間まったく伸びていない。

②日本の実質賃金の推移

最近日本のニュースで毎日のように言われていることに、ここ20年間実質賃金がまったく伸びていないのは日本だけである

③日本の人口動態

国力は生産年齢(15~64歳)の人数に比例すると言われるが、1995年をピークに減り続けている。半面高齢化比率は増え続け2025年には30%に達する。

アメリカのように移民を受け入れている国の国力は落ちないが、日本は移民に対し非常に保守的である。ちなみに、私自身も移民には反対の意見であるが。

3.所見

国の国力は人口(特に生産年齢)に比例するわけで、人口が減り続ける日本では、国力低下は当然の結果であり誰が悪いわけでもない気がします。

日本に居ると分からないのかも知れませんが、日本からの出張者で発展途上国の人間は、日本人より能力が劣るとまだ勘違いしている人が見受けられます。

私は最近よく思うのですが、人間の能力は人種によって決まるのではなく、知識と経験によるのではないかと思います。

以前は発展途上国と言われていた国々(中国、インドネシアなど)は、知識や情報を得る手段が乏しく、ほんの一部の扶養層が米国、欧州、日本などに留学して得ていたと思われます。

今はインターネットを通して、世界中から知識や情報が得られる時代に変わってしまいました。

インドネシアでも自国語の教材は乏しいため、高学歴になるほど英語力を必要とするわけです。そのためか英語力は日本人より上に行ってしまったわけです。

 

日本人の不幸なことは、私も含めてですが、勉強するのに日本語の教材があり、インターネットで知識や情報を得ようと検索するのも日本語で探しています。

インドネシアの若者は英語で検索し、世界中の知識や情報を集めることが出来るわけです。

 

私はもう手遅れですが、これからの日本人にとって英語能力は絶対必要条件であると確信しております。

次回は日本の人口が減り続ける一因である、「今の若者は何故結婚しないか」に付いて書こうと思っております。

 

 

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