アクティブシニアのリタイア後の楽しみ方NO.45 シンガポールの思い出No.2

シンガポールの思い出2(2000年から2003年)

  • 1.シンガポールの環境庁での2番目の問題

マリーンクレイ(海洋性粘土)の処理

 

日本でも海側の土地や海底に堆積している粘土ですが、堆積した年代が新しいことより、その上に構造物を作ると地盤沈下が生じることが大きな問題になります。近年では、関西空港を作るときに地盤沈下が大きな問題になりました。

シンガポールでも一番発展している南側の地域にはマリンクレイが堆積しています。

この土は日本の粘土より厄介な性格を持っており、粘り化が以上に強く掘削しても重機(バックホー等)のバケットに張り付いてしまい離れません。

この土は粘りが強いだけではなく、強度も無く土留め時の壁の崩壊など多くの問題を起こす土です。

そのためシンガポールの政府は掘削後の粘土は、再利用してはダメで、掘削した建設会社は政府が指定する海側の土捨て場に、有料で捨てに行かなければなりませんでした。

シンガポールは国土が狭いため、ビルを建てる場合も一般に地下3階まで駐車場などで使用するため大量の掘削土が発生します。

またもう一つの問題は、建物を建てた後には建物と山留壁の間に隙間が必ず生れ、一般的にはそこの隙間を埋めるのには砂が使われます。

シンガポールの場合ここでまた新たな問題が生れます。同国では砂は採取できず、多くはインドネシアからの輸入に依存しております。

当時はインドネシアとの折り合いが悪く、上手く砂が輸入できない状況にありました。

そこで私が考えたのは、この使っては行けないマリーンクレイ(海洋性粘土)を利用する方法です。

日本ではもう既に実用化された技術ですが、粘土に水を加え泥水状にした後に、セメントなどを加え固める方法です。

日本では流動化処理工法という名前で通っております。英語名では、Liquified Soil Stabilization Method(LSS 工法)と言います。

みなさんは、日本でも良く生コン車が走っているのを目にしたことがあると思います。

生コン車は、コンクリートを打設するために用いられます。原材料は、骨材(石)、砂、セメント、水と混和剤(セメントの硬化時間を調整するための薬等)です。

流動化処理土とは、粘土、水、固化材(セメント等)と硬化時間をコントロールする混和剤です。土を原料にするので、日本では泥生コンなどと呼ばれています。

打ち込む時は液体ですから、砂のように締め固める必要もなく、どんなに狭いところにも自然に入っていき、一日経つと人が立てる固さになるわけです。

私はシンガポールのパートナーと共に、シンガポール大学の協力の元、LSS工法を環境庁に持ち込みました。

瞬く間に環境庁に認められ、同国が始めたInnovation  for Environment Sustainability (IES) Fund (環境維持のための革新的な取り組みに対する基金)の第一号を取得し、建てたプラントの費用の50%はシンガポールの国が出してくれました。以下はシンガポールの新聞に載った記事です。

News Paper extract on date 26.8.2002

建設現場からの不要な粘土は建設材料になり得る

シンガポールで立ち上げたLSS工法のプラントです。

大成功に見えた事業ですが、合併相手の本社の上司からは弊社ではこんな事業はやらないから直ぐ止めろとの指示があり、本事業はローカルの会社へ売却するに至りました。

企業の合併とは大変難しい問題です。本社に戻り分かったのですが、「お前が出す案件は全て、合併相手方の上司から潰されるよ」と言われました。

その後LSS工法はシンガポールの国益にマッチして、大きなビジネスへと進展し、売却先の会社は大儲けとなりました。

その後しばらくは私がシンガポールへ行くと、以前はピックアップトラックに乗っていたパートナーは、メルセデスベンツで飛行場まで迎えに来てくれたのを思い出します。

2. シンガポールで驚いたこと

シンガポールに初めて赴任した時に、シンガポールの建国の父と言われた、初代の首相リークワンユーの懐古録を読みました。

確か人口のうち74%が中国人、13%がマレー人、9%がインド人で、マジョリティは中国人です。

リークワンユーも当然中華系の人間で、中国人の行動習慣を熟知しており、彼が取った政策は、中国人に言うことを聞かせるには、罰金制度しか無いということでした。

そのため日常の行動にも色々制約がありました。

①有名なのがたばこのポイ捨てとガムの罰金

町の至る所に私服警官がおり取り締まっていました

②たばこの海外からの持ち込み禁止 

シンガポールのたばこの関税がべらぼうに高く当時でも、日本のたばこの3倍はしました。そのため国外から持ち込むのですが、これも直ぐ捕まります。

当時たばこを吸っていた私は、日本から持ち込んだ煙草を現地で買ったたばこの箱に入れ替えて吸っていました。

当時からシンガポールのたばこのパッケージは、癌の写真でかなりグロテスクな物でした。

現在のたばこのパッケージです

③運転中の携帯電話の罰金

今でこそ日本でも違反ですが、シンガポールは当時も罰金の対象でした

④国外への車での移動時のガソリン規制

シンガポールとマレーシアは橋で繋がっています。

ガソリン代はマレーシアではシンガポールの三分の一の値段なので、シンガポールの人はマレーシアでガソリンを給油したいわけですが、シンガポール政府が統制しています。

シンガポール出国の際にシンガポールカーはガソリンが3/4タンクに入っていないと罰金もしくは帰らされます

 

またシンガポールでは罰金が無い行為は、マナーがなっていませんでした。

①エレーベーターは、降りる人が先の罰金が無いので、降りようとすると乗ってきます

②地下鉄も降りる人が先の罰金が無いので、モタモタシテいると降りられませんでした

3.終わりに

今回のブログは、前回のものから2か月半ほど経ってしまいました。

内容も愚痴や仕事の専門的な話になってしまい、一般の人には興味が無いような内容になってしまいました。

ブログは今後も引き続き書こうと思っておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。

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